宿泊業

ホテルフロント業務 20代 女性 宿泊客とのトラブルで辞めたい

今回の相談者は、ホテルフロント業務の20代の女性。
やりがいを感じていた仕事でしたが、悪質な宿泊客とのトラブルにより退職を考えるようになりました。働く上で何を一番大事にすべきなのでしょうか。
ぽんたんがお答えします!

宿泊客とのトラブルで、心からの笑顔を失う

私はおよそ4年間、あるホテルのフロント業務の仕事をしていました。

フロント業務は主にお客様のチェックインとチェックアウトの対応や、宿泊予約などの電話対応、滞在中のお客様からの要望にお応えするといったものがほとんどでした。

お客様から「ありがとう」と言っていただけるととても嬉しく、やりがいを感じることのできる仕事でした。

しかし、やりがいを感じる瞬間よりもはるかに多かったのは、辛いと感じる瞬間でした。

私の働いていたホテルは一流ホテルではなく、ごく普通のビジネスホテルだったため、1泊あたりの宿泊料は決して高くはありませんでした。

そのため宿泊される方は、ストレスの溜まったビジネスマンから家出をしてきた若者など、常にイライラした方が多かったのです。

そんな方達が少しでもリラックスできるように努めるのが私の仕事でしたが、時には私の仕事の範囲を超えた要望やクレームを押し付けられることもありました。

 

中でも私が最も辛いと感じたことがありました。

この一件で、私はこの会社を辞めたいと思うようになりました。

それは滞在中のお客様からの1本の電話から始まりました。
その方は中年の男性で、出張で宿泊されていました。

電話の内容から、仕事でとにかく疲れているため、部屋でマッサージをしてほしいという要望でした。

どこのホテルでもあるように、私のホテルでもマッサージの予約を承っており、時間になると契約しているマッサージ業者がお客様のお部屋に施術に伺うという流れでした。

私はいつも通り電話でマッサージの予約を受けようとしたところ、お客様は客室にあるメニュー表が分かりにくいと仰るのでした。

私は口頭でメニューを説明しましたが、お客様はそれでも分かりにくいと、部屋までメニューを説明しに来いと仰るのでした。

私は自分の説明が分かりにくかったことを反省しながら、すぐお客様の部屋に向かったのでした。

部屋に到着すると、私はドアの外からメニュー表を手にコースの説明をしました。

すると、お客様は突然表情を変え、真顔で私の腕を掴み、無理やり部屋の中へ引きずり込んだのでした。

私は一瞬の出来事で声も出せませんでした。

お客様は、じっと私の顔を眺めてニコニコ微笑み始めるのでした。

私は、自分の置かれている状況が危険な状況と把握し、すぐに部屋を出ようとしました。

するとお客様は、ものすごい力でドアを抑え、私が出れないようにするのでした。

私はこんなにも恐怖を感じたことが、今までの人生で一度もありませんでした。

ここから出るにはどうしたら良いかを考えているとき、廊下から誰かが走って近づいてくる足音が聞こえてきました。

そしてその足音は私のいる部屋の前で止まり、ドアがガチャっと開いたのです。

ドアの向こうには男性の先輩社員が立っていました。

先輩はお客様に真剣な顔でホテルから直ちに出るようにと伝え、私を連れ出してくれました。

私は何が起きているのか分からないまま、先輩に連れられ事務室へと戻りました。

先輩は心配した面持ちで、どうしてもっと抵抗しなかったのか、自分を守るためなら抵抗しないと危険だと、何度も何度も私に言いました。

先輩が異変に気付いたのは、私が持っていたインカムが事務室に送り続けていた不自然な音だったそうです。

私のホテルでは、客室にお伺いする際、必ずインカムを持って行きます。
私はあまりの恐怖から、自分がインカムをズボンにぶら下げていたことをすっかり忘れていたのでした。

また、マッサージのメニューを説明するだけのはずが、あまりにも時間がかかっていたので、先輩は心配になり駆けつけてくれたということでした。

私はこの先輩が事務室にいなかったらどうなっていたのだろうと、考えると怖くて仕方ありませんでした。

私がこの仕事を辞めたいと思った瞬間でした。

 

私の仕事はお客様の快適なホテル滞在のために尽くすことで、もちろんやりがいがある仕事でした。

しかし、たくさんの良いお客様がいる一方、とても危険な人たちもいるということを学びました。

この一件があってから、お会いするお客様に、自分の心からの笑顔で対応することができなくなりました。

毎日作り笑顔で接客する自分がとても嫌でした。

心のどこかに、もしかしたらこの人も危険な人かもしれないという気持ちが必ずありました。

そして、自分が仕事をしている時にあのような危険なことが起きることがあると思うと、仕事を続けていく自信はなくなってしまうのでした。

 

何よりも大事なのは、あなたの心と身体の健康です!

何よりもまず、あなたが犯罪等の被害に遭わず助け出されたこと、本当に良かったです。

あなたは日々ストレスを感じ、辛いと思いながらも、仕事にやりがいを持って一生懸命取り組んでいました。

チェックインとチェックアウトの対応、宿泊予約などの電話対応、宿泊客の要望への対応、といった定型の業務のみならず、
「(宿泊者が)少しでもリラックスできるように努めるのが私の仕事
と仰るあなたの仕事への取り組み姿勢は、本当に素晴らしいです。

今回の一件で、先輩が助けに駆けつけてくれたのも、あなたが同僚の方達と良好な関係を築いており、普段から仕事に真摯に取り組んでいたからこそだと思います。
だから、先輩もあなたがサボったり寄り道をしているのではなく、トラブルに巻き込まれているに違いないと思ったのでしょう。

そんな風にあなたが一生懸命取り組んできた仕事を「辞めたい」と思わせた悪質な宿泊客は、到底許すことができません。

 

あなたが感じた恐怖は、そう簡単に忘れることが出来るものではないでしょう。
そんな恐怖を毎日思い出しながら働くと、心が磨り減ってしまいますよね。

心の健康は、身体の健康と同じくらい、またはそれ以上に大切だと思います。

あなたの仕事に対する取り組み姿勢や、ホスピタリティーの精神は、働く業界や業務が違っても存分に発揮できるものだと思います。

あなたがまた、心からの笑顔で働ける場所を見つけられることを願っています。